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父が歳をとって物忘れが増えてきた。
今のことはすぐに忘れるけれど、昔のことはよく覚えている。
父は海軍の兵隊さんになりたかったそうで、真っ白の制服を着て地元に帰ってきた兵隊さんを見てはあまりのカッコよさに震え上がった、とこの夏 泣きそうな表情で話してくれた。
(‘坂の上の雲’ でモッくんがとても凛々しい海軍の兵隊さんの役をしてるのを思い出して、本当にカッコよくてみんなの憧れの的だったんだろうな、と思った。今の時代、猛烈に憧れの念を抱く事って少なくなっているように思う…)
毎日が日曜日となり、仕事をしていた時のようなキリリとした表情はもはや見られなくなった。
泣きそうな表情になる事は増えて、頑張っている若者の姿をテレビで見たり、幼子の姿を見たりすると途端に表情が崩れる。
これが感情失禁というものなのだろうか?
人は誰でも心の奥底に感情を秘めている。
その感情を表面に出す事は多分そう多くないだろう。それが蓄積されていくとある時に何かのきっかけで溢れ出す。
普段だと何でもない他人からの一言に涙がこぼれたり、きれいな音楽や、景色に感動して涙が出たり…
みんないろんなものを背負って生きていて、なおかつ生活に追われているからそうそう自分の感情に目を向ける暇などないのが現状だろう。
時々は自分とゆったり向き合って、自分自身をかまって故意に感情を吐き出す場を設けるといいのかもしれない。
泣きたい時に泣いて、笑いたい時に笑って、怒りたい時に怒って、楽しい時は思い切り楽しんで、そんな風に自然に生きられたらいいなぁ。
(こんな風に書いたけど怒りだけは遅く…と心掛けてます。)
すごく暑い日が続いていたけれど、今日はほぼひと月ぶりに雨が降って、その途端に急激に気温が下がってとても過ごしやすい日になった。
朝晩の風は秋を感じさせる。
季節はちゃんと巡っている。
久しぶりにぐっすり眠れそう…