私のつれづれ記

日々感じた事を思いつくままに綴っていきます。お立ち寄り下さりありがとうございます。

今日のある一人の利用者さん、御歳92歳。

久しぶりの援助で体調を聞くと、「足も痛いし、耳も遠いし、寝ても寝ても眠たいし、歳とって良い事はなくて情けなくなるわ。あなたは若くていいね。」と、こんな事を言った。

「一日は長いけど1ヶ月、半年、1年はすぐに過ぎて、あっという間にこんな歳になってしまったわ。一体何をしてきたのだろう、と思う。」とも言った。

人って、その時その時で精一杯の日々を送っていると思うけど、過ぎてしまうとこんな風に思ってしまうのだろうか?


昨日のNHKスペシャルで ‘人生の終い方’ というのを放送していた。
あなたは何を遺された家族に残しますか?と問う番組で、遺すものは千差万別だった。

癌告知を受け余命いくばくもない若い父親は、幼い我が子に何を遺すか悩んだ末に、残されている体力の全てを使って家族旅行に出かけた。
子ども達に最期まで頑張る姿を見せて、今後人生の岐路に立った時に自分の姿を思い出す事で乗り越えて欲しい、というメッセージを遺した。そして、旅行の4日後に亡くなった。

また、軽度の知的障害の娘を抱えた90歳の母は長年居酒屋を経営し女手一つで娘を育ててきた。
娘を一人残して死ねない、と肺ガンの末期でも入院せずに、いつもいつも娘を気遣っていたが、病には勝てず亡くなってしまう。
後日、居酒屋の常連さん50人余りがこの母の偲ぶ会を開いた。いつも店に娘をおいて気にかけていたのを常連さん達は知っていて、残された娘に励ましを与えた。

また定年を迎え妻とのんびり旅行を楽しもうと思っていた夫に癌が見つかり闘病生活を送る。
自分の余命が少ないのを知って夫は妻、娘、息子に手紙を残す。いつも一緒にいても口に出せなかった思いを手紙にしたため自分で手渡し安堵し、1ヶ月後に旅立った。


昨日の笑点で最後の司会を務めた桂 歌丸さんがこの番組の司会もしてらした。
芸歴65年という落語界の重鎮の生き様も紹介されていた。病の為に入退院を繰り返し、医師からは無理をしない様に言われているも地方公演へ出かけ、高座へ上がり続けている。
舞台を降りると酸素チューブをし、自力では歩けず車椅子に乗る。
凄まじいまでの落語へ寄せる思いに、落語界を引っ張っていかなくてはという使命感に、心打たれた。

とても考えさせられる番組だった。



冒頭の利用者さんの今日の言葉を聞いて、ふと昨日の番組を思い出してしまった。
切羽詰まらないと生き方を考えることは普段はない。
順番からいうと「死」に近い人と接することでこんな風に生き方を考えてみたり、生活を見直してみたり、毎日いい機会を与えられている。


私は何を遺せるのだろう……




今日も一日お疲れ様でした!