■
友人のお父さんが5年前に胃ろうになり、施設に入って過ごしていたものの、先月末に高熱が出て病院に入院した。
施設では看取りをお願いしていたそうだが、苦しむ姿に耐えられず治療をお願いしたとの事。
栄養剤を流すと調子が悪くなるようで、水分のみ入っているらしく、痰は絡み、熱も下がらず、もうダメかと思いつつ、2週間程命を繋いでいる状態で、友人の精神状態もあまり良くない。
施設や病院からは状態の変化があると今後の確認をされるらしく、その選択が正しいのかいつも悩むと言う。
もう歳なのだから…と思いながらも目の前にいる父が苦しんでいると治療をしてほしい、と思ってしまうが、果たしてそれが最良の道なのか… ? 治療をすることによって尚、父を苦しめることになるのではないか…?
人の命を自分の選択で終わらせることも永らえさせることもできる畏怖を彼女は常に感じてきたのだろう。
たとえ、延命はしないでほしい、と言う本人の意思があったとしても、やはり目の前の身内を前にして本人の意思を貫く選択ができるのか自信がないと言った。
人がこの世からいなくなる事の重み。
生きていくことの難しさ、辛さを年齢を重ねるごとに思う。
楽しい事はそんなに多くはないのに生きていくって何なんだろう。
病院からの呼び出しで久しぶりに会った彼女は帰って行った。
過酷な現実と向き合って、また悩む選択を迫られるのだろう。
かける言葉が見つからなかった…
彼女が選んだ選択をお父さんも許してくれますように…
そして、彼女自身がその選択を後悔せずに精一杯の事をしたと思えますように…